12月大歌舞伎
【歌舞伎座】
§玉三郎丈配役§
・「信濃路紅葉鬼揃」 鬼女 12月14日観劇
・「ふるあめりかに袖はぬらさじ」 お園 12月21日観劇
今月は筋書・インタビューの始まりが玉三郎さん、終わりが勘三郎さんといった
50代以下が中心となるエネルギーに溢れた舞台となっていました。
画期的な歌舞伎座で初公演となった『ふるあめりかに袖はぬらさじ』を始め、
感動的な舞台が揃っています。
そんな感想なぞを少々、書き連ねてみます。
<昼の部>
『信濃路紅葉鬼揃』
観世小次郎信光作の五番目能『紅葉狩』を題材に新趣向の松羽目舞踊としたと
説明されている『信濃路紅葉鬼揃』ですが、娯楽性を考えると
お能を踏まえた半切・能面顔の美女が鬼に変化(へんげ)するより
綺麗な赤姫が急に立ち姿・歩き方から驚く程に変わって鬼となる
従来の『紅葉狩』の方が勝っているのでは…、が舞台を目にした第一の感想です。
今回の演出だと前シテの美女たちの動きが少なすぎる為に
変化に乏し過ぎる気がしたのは私だけでしょうか……。
しかし!、鬼揃はかなりの迫力!!。
玉三郎さんが目指す舞台を垣間見た気持ちになりました。
また素晴らしかったのが、勘太郎さんの山神!!。
ちょうど花道・スッポンの近くで見ていたので
特に山神の出と引っ込みの際の勘太郎さんの瞳の輝きに圧倒されました。
彼の眼力(めぢから)は素晴らしいですよ~!。
これからがとても楽しみな役者さんでいらっしゃることを確信した一瞬です。
『水天宮利生深川』 -筆屋幸兵衛-
こちらは勘三郎さんの熱演が涙を誘う舞台です。
…きめ細やかな情愛をたっぷりと表現できる勘三郎さんならでは… ですが、
初演でいらっしゃるからか、少し力が入り過ぎている感じはしました。
肩の力が抜けた時の筆屋幸兵衛は数段、良くなられると思います。
…しかし…それよりですねぇ…、涙する場面で平気でクスクス笑う
観客がこのお芝居を台無しにしていると大いに憤慨したのは
ワタクシメだけでありましょうか… /(>_<)\
子役さんが真剣にお芝居している姿は確かに微笑ましいとはいえ、
涙するところで笑ってしまう観客の感性は正直、理解できません (-_-;)
舞台では勘三郎さんが幸兵衛として本物の涙を流されているのに
子役さんが喋る度に、「クスクス」と笑いが起こるのは何故でしょうか?。
芝居は役者だけが作るものではなく、観る側の観客も舞台作りに
多大な影響力を持っていることを、私達はもっと自覚すべきでは…。
と言う前に、泣くべきところでクスクス笑いして平気でいられる
今の日本人の感性を何とかしないとネ…zzz…。
観客の大半は不思議な日本語を話す若者ではなく(!?)
…今の若い人は… と嘆く中年以降のオバサマ達なんですから……。
<夜の部>
『菅原伝授手習鑑』 -寺子屋-
何度、目にしたかわからない程、目にしている『寺子屋』ですが、
今回の舞台はとても新鮮な出来上がりとなっていました。
何と言っても、海老蔵さんの源蔵が期待以上の上出来 (*^_^*)
確かに素顔の目線が出てしまったり、浮いてしまう場面があったりはしますが
彼が源蔵のような役を堂々と演じ切れる役者に成長されていることに何より大拍手!!。
中でも、勘三郎さんの松王丸との手に汗握る睨み合いは迫力満点!!。
<昼の部>の勘太郎さん共々、代の歌舞伎界を担い行く役者を
目の前にした喜びを感じた舞台です。
勘三郎さんの松王丸は我が子を身替りとして差し出さねばならない
親の苦渋、悲しみが溢れ出ていました。
3列目の真ん中というちょうど真正面で松王丸を目に出来るとてもいいお席にいたお蔭で
我が子の首実検をした悲しみに暮れる松王丸に胸を締め付けられる気持ちになりました。
先代・勘三郎さんの松王丸は絶品と言われましたが、
当代・勘三郎さんの松王丸も彼の代表作となって行くことは
確かだろうと感じたワタクシメでございます!?。
『ふるあめりかに袖はぬらさじ』
玉三郎さんが現代戯曲の作名作と言われ、上演を重ねる『ふるあめりか~』は
熊本・八千代座の上演以来の観劇となります。
今までの舞台とは異なり、歌舞伎座で歌舞伎として上演される
『ふるあめりか~』は楽しみに観劇しました。
先ず、歌舞伎座で役者総出演での上演に漕ぎ着けられたことに
心から拍手をお送りしたいと思います。
女優さんが舞台に立たれるのと異なり、歌舞伎役者でまとめた舞台は
懐の大きさを感じさせましたし、
特に玉三郎さんと勘三郎さんの丁々発止は実に見事!!。
玉三郎さんも念願叶って満足されているのではないでしょうか。
…ただですねぇ…、坂東玉三郎公演として使われる舞台小屋に比べ
規模も大きく横に広がりを持つ歌舞伎座の舞台は
役者のオーラや作品自体が放つエネルギーを分散させてしまいます。
今回の『ふるあめりか~』もご多聞に漏れず、八千代座等で目にした舞台より
薄まってしまっている感はどうしても否めません。
(とは言っても、そこは歌舞伎役者さんによる舞台……、
薄まり方は悲惨の領域には届いていないのですが!?)
劇場が芝居の出来不出来に多大な影響をもたらすことを痛感させられた思いがします。
それにしても、玉三郎さんのお園は一時代前のきっぷのいい姐さん!!。
古き良き時代の日本女性の典型を目にするにつけ
…この感性を大切にしなければ… と思わさせれるワタクシメ、
そうすれば涙するところで笑ってしまう情けない観客にならずに済みますもの!?。
つくづく色々なことを考えさせられた今月の歌舞伎観劇でございました。
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コメント
夜の部、私も観劇しました。勘三郎一家大活躍ですよね。
七之助さんの花魁がとても儚くて良かったと思います。
ナーコさんの仰るとおり、若手の成長著しいことは嬉しいわよね
歌舞伎も新しい時代を迎えていると思う最近です。
投稿 みどり | 2007年12月25日 (火) 15時24分